「ダイオキシンで被害」所沢市長告発へ          読売新聞  5月23日  朝刊より
告訴状はこちら

 子宮内膜症などの健康被害を受けたのは、一般廃棄焼却施設でダイオキシンの排出を続けた市長の責任だとして、埼玉県所沢市の住民ら三人が、二十六日にも、斉藤博・同市長を「人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律」(公害罪法)で浦和地検に刑事告発する。
 告発するのは、同下安松、主婦中村勢津子さん(48)ら、同市営の一般廃棄物焼却施設である東部清掃事業所(同東所沢和田)や西部清掃事業所(同市林一)周辺に住む三人。
 告発状によると、西部清掃事業所では、九二−九四年度の測定で、1立法b当たり最高で一万2千ナノcのいダイオキシンを検出、国の暫定基準値八十ナノcを大きく上回った。しかし、斉藤市長は、ダイオキシン類が人の健康を害する危険な物質であることを知りながら、同事業所でダイオキシン対などの有害化学物質の排出を続けた。子宮内膜症や重症衰弱症候群などはすでに動物実験などでダイオキシン類との因果関係が指摘されており、中村さんらがこれらの被害を受けたのは、同事業所から排出されたダイオキシンが原因だとしている。 
 中村さんらは、医師からの診断書と同市が行った血液中のダイオキシン類含有量調査で、脂肪一グラム当たり二十ピコcのダイオキシン類を検出されたとの検査結果を告発状に添付する。
 同市秘書室は「刑事告発の動きや告発の内容までは把握していないのでコメント出来ない」としている。



ダイオキシン排出問題       読売新聞 5月27日 朝刊より
所沢市長を告発
 ダイオキシン汚染との因果関係が指摘されている子宮内膜症などの健康被害をうけたのは、一般廃棄物焼却施設でダイオキシン類の排出を続けた市長の責任だとして、埼玉県所沢市の主婦中村勢津子さん(48)ら三人が二十六日、「人の健康に係る公害犯罪の処罰の関する法律」(公害罪法)違反で、斉藤博・同市長を浦和地検の告発した。告発状などでは、斉藤市長は一九九四年以降、ダイオキシン類が人の健康を害する危険な物質であることを知りながら、同市営の一般廃棄物焼却施設である東部清掃事業所と西部清掃事業所でダイオキシン類などの有害化学物質の排出を続け、周辺住民の生命または身体に危険と健康被害を生じさせた、としている。
 中村さんは「市営施設からのダイオキシン汚染で、周辺住民の一部はすでに健康被害を受けている。問題提起のためにも告発して、市長に責任の重みを実感させたい」と話している。


十五夜ノボルこと小澤明寿さんから告発の意義について以下のメールを頂きました。

●法律的手段として,民事の中では,
●事後的な損害賠償訴訟よりも,事前的な差し止め訴訟の方が優れています。
●また,民事よりも刑事裁判に訴えた方が,事態の解決は何十倍も早いです。すなわち,刑事事件ならば警察権という国家力を活用できるからです。
●さらに,できれば刑事告発を必要としない,警察が独自に動いてくれるような刑法的罰則を,ダイオキシンなどの猛毒物質の放出に対して定められれば最 も良いのです。
●その意味で「被害者の会」の行動は画期的一歩で,この訴訟が一定の成功を 見せれば,狭く所沢市民だけではなく,日本全国の公害に苦しむ人々をどれだ け勇気づけるかわかりません。また,全国の環境法学者も動き出すことでしょ う。環境経済学者もそうです。
●刑事告発というのは歴史的一歩で,10年20年という長い長い民事裁判か ら我々市民を解放する最初の一歩なのです。
●したがって市民団体の皆さんもこの「刑事告発」の意味を冷静に取り入れて, その歴史的価値を知るべきです。このような裁判が生じてしまってはもはや時 代遅れかも知れませんが, 松浦寛『環境法概説』(1995年,信山社) がテキストとしてお奨めです。




98.5.29 「ダイオキシン汚染から環境と健康を守る所沢市民会議」(会長 斉藤博市長)が、県に要望書を提出した。




98.6 所沢市ダイオキシン対策課が相談員を設置。月に一度相談員の方がダイオキシ対策室で相談に応じる。一人30分 予約制
6.10 ダイオキシン類と健康について     横浜市愛児センター所長  住吉好雄
6.17 ダイオキシンの排出抑制や廃棄物の処理について  日本環境衛生センター環境工学部  藤吉秀昭
6.24 ダイオキシン類の環境調査分析などについて    日本品質保証機構環境計画センター  浅田正三
     予約はダイオキシン対策室まで  tel042−998−9417
 

98.6.13 「欠損焼却炉」問題
     「損害賠償の要求は困難」 所沢市長         朝日新聞 6月13日 朝刊
濃度ダイオキシンが検出された所沢市の西部清掃事業所の焼却炉が欠陥炉との指摘を受けている問題で、斉藤博市長は12月の定例市議会で、「メーカーに損害賠償を求めることは困難」との認識をしめした。
同事業所の焼却炉をめぐっては、市議会厚生常任委員会が「設置当初から炉内で爆発が起きるなど、欠陥炉といわざるをえない」とする報告書をまとめた。市も今年度からの3年間に総額45億円をかけて炉を改修する方針だ。


98.6.27 所沢市議会のダイオキシン対策特別委員会、業者排出量規制を検討することを決めた。
      
98.7.1 「所沢市ダイオキシン類等規制計画策定審議会」が30日に開かれた。


98.7.11 所沢市は、塩ビ製の容器とプラスチック製の容器がしやすいようにするため、塩ビが入った商品すべてにシールを貼るよう市内の小売店に要請した。(朝日新聞朝刊より)


98.7.11 所沢市の市民団体「中新井の環境を考える会」は、所沢周辺の清掃事業所や、産業廃棄物焼却施設の排ガスから出るダイオキシンを試算し、年間181.7cと算出した。(朝日新聞朝刊より)


98.7.30 「ダイオキシン被害地の会」は、29日世界保健機構(WHO)に対して調査のための医療団を求める要請書を署名とともに送付した。


98.7.24    所沢市の市民団体「中新井の環境を考える会」が塩ビの使用状況を調査するアンケートを105の企業に送った。(朝日新聞朝刊)


98.8.12    所沢市、川越市、狭山市など県西部自治体と、県、県警が連携して、違法な野焼きや不法投棄の防止するための「野焼き等防止クリーン作戦」が始まった。


98.8.21    所沢市長は、市議会の全員協議会において「東部クリーンセンター」(300t/日)の建設計画を正式に発表した。