ごみゼロアクションパート1主催学習会報告
講師: 津川 敬氏(フリーライター・廃棄物処分場問題全国ネットワーク)
なぜゴミが増えるのか?
@受け皿を増やすから
自治体は、ごみは右肩上がりに増えると予測しているが、ごみ排出量と人口増加の過大予測がある。
ごみの量を一人当たり一日1000gで予測しているが、家族の人数が増えるほど一人当たりのごみ排出量は減る。
Aリサイクルするより捨てた方が安いから
B廃棄物処理法そのものがゴミを増やしている
許認可権を餌に廃棄物処理業者を手中に入れようとした厚生省
ごみ処理からごみ管理へ
ドイツは、例えばタバコならセロハン、外箱、銀紙、フィルター、巻紙、葉と、分別して捨てるが、それを産業界にも同じようにやらせていることがすごい。事業者に排出責任をきちんと課している。
●「ごみ処理」をやめ、ごみの受け皿を小さくする。
●リユース(もう一度使う)する。(ポリカーボネートの使いまわしは問題)
●マテリアルリサイクル(原料に戻す)する。(但しプラスチックはろくなものが出来ない)
●リカバリー(化学的なリサイクル) 廃プラを高炉の燃料にするのは一つの方法か?
ガス化溶融炉の原理
1.ごみを熱分解(450度、1時間ぐらい蒸し焼き)
2.ガスが発生
3.タールやチャー(残さ)
4.未燃分の鉄、アルミを途中で排出
5.タール系とガスを溶融炉に送る(1300度)
6.スラグが排出される
ガス化溶融炉の問題点
●80年代にも試みられ、失敗している。
●三井造船のガス化溶融炉。自動的にスラグが排出されるはずが、出てこない。掻き出し棒で、火の粉を浴びなが ら作業員が掻き出している
●技術の導入元であるドイツ・シーメンス社が88年8月にガス漏れ事故を起こし、撤退を決めている。
●ごみを分解して自己循環する。というが、助燃装置が付いている。高カロリーのごみが必要になる。容器包装リサ イクル法とのかねあいは?
●高温でダイオキシンを分解する。というが、再構成する可能性がある。また、バグフィルターには穴が開きやすい 。いざというとき、バイパスを 通す可能性がある。バグフィルターは完璧ではない。
●溶融炉の導入は、ダイオキシン対策ではなく、処分場対策であるが、スラグが本当に安全で使用できるのかどう かわからない。
路盤材に使用して、酸性雨に当たった場合、有害物質が溶け出さないかどうか日本の溶出試験のやり方では不 十分である。
●スケールアップ障壁(立川涼氏談)−−−テストプラントでうまくいっていても、実際にその4倍も5倍も大きなもの を造ると、ひずみが出てくる。自治体がテストをするはめになる。
●ガス化溶融炉が、いったい何を目指しているのかわからない。
東部クリーンセンター建設・所沢の問題について
●ごみ量の積算根拠が問題。
●分別を通して、住民のごみに対する意識を高めることが重要。
●焼却炉は、ごみが少ないほど運転が難しい。大き過ぎるものは将来重荷になる可能性がある。
●ガス化溶融炉は問題点が多い。相対的にはストーカー炉に灰溶融か?しかし、灰の溶融は、大量の電気を必要 とする資源消滅型技術。ゴ ミの焼却で発電するには、大量のゴミが必要になる。 灰溶融のために、ゴミをかき 集めなければいけないという事態が起きてくる。
●産業廃棄物処理業者に、きちんと焼却炉の運転管理ができる技術者は期待できない。