産業廃棄物処理場

Q:産業廃棄物処理場とは主にどんなことを行っている所ですか。
A: 我々の日常生活から出るゴミではなく、建築廃材や、医療廃棄物等、主に企業から
  出るゴミを燃やしたり、解体して処理するところです。

Q:どうして今、産業廃棄物処理場が問題になっているのでしょうか。
A: 産業廃棄物を焼却する際にダイオキシンやその他有害物質が発生するからです。ダ
  イオキシンは、塩化ビニールや、塩素を含むものを燃やすときに発生します。煙とし
  ても排出されますし、焼却した後の灰や、すすの中にもダイオキシンが大量に含まれ
  ているといわれています。

Q:所沢市にはそんなに産業廃棄物処理場が多いのですか。
   「くぬぎ山」は、所沢市と川越市、狭山市、大井町、三芳町の隣接するところにあ
  ります。従って「くぬぎ山」の産廃処理場がみな所沢市内にあるわけではありません。
  しかし、そこから排出される煙によって風下の所沢市が汚染されているのです。
   また、所沢インター付近には、10年以上も操業を続ける産廃処理場がいくつもあります。
    所沢市内に焼却炉は一本もないという、所沢市の言い分は、責任逃れにほかなりません。
   加えて、所沢には”野焼き”が目立ちます。産廃処理業を行うには、県の認可が必要なのですが、
  認可を受けずに産廃を処理費用とともに引き受け、勝手に焼却(野焼き)をする者もいます。
   
Q:どうして、所沢周辺に産業廃棄物処理場が集中したのでしょう。
     所沢で処理されている産業廃棄物のほとんどは、首都圏から入ってきています。埼
  玉県は、ゴミの流入に対して規制をしていませんでした。つまり、持ち込み自由だっ
  たわけです。持ち込みが自由で、東京から関越自動車道を利用しての交通の便が一番
  よい所沢に、産廃処理場が集中したのです。
      また、今では産廃処理場となっている所沢周辺の土地の所有者が、地価の高騰に伴
  って相続税を払いきれず、土地を手放さざるをえなかったということも産廃処理場の
  集中した原因と考えられます。

Q:所沢周辺の産業廃棄物処理場に何か特徴はありますか。
      建築廃材を処理する業者が多いようです。建て替えのために壊した古い家や建物を
    焼却処理するのです。所沢の産廃処理場は、ほとんどが簡単な焼却施設で、ダイオキシン
  の発生を抑制する装置がつけられていません。また、地面に穴を掘って産廃を放り込んで火
  をつける”野焼き”をする業者もいます。
     建築廃材は防腐剤や防虫剤等の化学薬品がしみこませてあったり、ビニールの壁紙が張って
  あったりして、分別が難しく有害物質を大量に発生させていると考えられるにもかかわらず、
  簡易な焼却施設で長年燃やし続けられてきました。


Q:去年、廃棄物処理法と大気汚染防止法の政省令が改正され、12月1日から施行された
  と聞いていますが、何がどのように変わったのでしょう。
  一時間当たりの廃棄物の処理能力が200s以上の焼却炉、火格子(ゴミをのせて焼くと
 ころ)面積が2平方メートル以上の施設を対象に、表のような取り決めをしました。

処理能力
(一時間当たり)
200〜2000kg未満
2000〜4000kg未満
4000kg以上
今ある焼却炉
2002年11月まで
80ナノc
80ナノc
80ナノc

2002年12月以降
10ナノc
5ナノc
1ナノc
新しく作る焼却炉

5ナノc
1ナノc
0.1ナノc
(1立方bの排煙当たり・ナノcは10億分の1c)
Q:法令の改正後、所沢のダイオキシンの排出量は削減されましたか。
A: 削減するどころか、ひどくなっています。
   
   ★この規制は98年12月までは、基準を守らなくても大丈夫という猶予期間があります。
    つまり、今年の12月まではこれまで通り、又はこれまでより更に多くのダイオキシンを排出
    しても構わないということなのです。
   
   
   ★また、規制の対象になる焼却施設であっても、今ある焼却炉は2002年まで、つまり
   今から5年間は80ナノc(ドイツの基準0.1ナノcから考えると800倍)
   を排出していても構わない。ということなのです。
     
   以上の三点から考えますと、法規制がされたからといって所沢の産業廃棄物処理場から出るダイオキシン量が
  減っているとは考えられません。
   実際、今年12月の実質的な規制が始まる前にと、駆け込みで昼夜を問わず焼却を続ける産廃業者もいます。
   ただ、誤解のないように付け加えますと、基準内にダイオキシンの排出を抑えようと施設を改善したり、
  廃業してしまったりする産廃業者もいることはいます。
   もう一つ法規制に関して重要なのは、規制が守られていなくても罰せられないということです。
  産廃業者が基準値を超えたダイオキシンを排出していても、法の力で焼却を止めたり、焼却施設を閉鎖したり出来ないのです。
   国は、長年ダイオキシンを研究してきた民間人やダイオキシンの被害を受けている住民の意見を取り入れる前に、早急に
  形だけの規制を掲げてしまいました。規制が出来たことで、表面上は安心なようですが、実際は全くの「野放し」状態が
  これから1年続くこととなってしまったのです。


Q:産業廃棄物処理場からのダイオキシン量を減らすためには、今後どんなことが必要なのでしょう。
  上記の規制が所沢の状況に、全く対応していないことを考えると、形だけでなく、実効力のある、現状に見合った法律が
 早急に必要です。
    現在規制の基準になっているのは、煙の中のダイオキシンが濃いか薄いかということですが、いくら濃度の薄い煙で
  あっても何十本もの煙突が集中し、かつ長時間焼却されている所沢のことを考えると、ダイオキシン排出の「総量規制」 
 (全体でいくいくらのダイオキシンがでているか)を基準にすることが必要です。
   

Q:私たち個人で何かできることはありますか。
    日常の生活から出るゴミと違って、私達自身が産業廃棄物を減らすのは難しいことのようです。
     しかし、私達の無関心や無知がこれだけの産廃処理場を所沢周辺に集中させ、自然 破壊、環境汚染を招いてしまった
  ことを思うと、とにかく関心を持ち続け、問題点を探り続けることが大切だと思います。
     私達が危機感を持ち声を上げ続けることで、企業や自治体、国をも動かせると信じています。

    


参考図書  ダイオキシン・ゼロ社会へ 藤原 寿和 リム出版新社
        ダイオキシンの恐怖    高山三平  PHP
        ダイオキシン汚染列島   長山 淳哉  ダイオキシン問題を考えるDネット  かんき出版
 



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