キノコでダイオキシン汚染土壌を浄化!
大阪薬科大学 三野芳紀助教授が発表

 ダイオキシン類は、発癌性などの毒性の強い化学物質で、廃棄物の焼却などの燃焼
過程で非意図的に生成されます。強い毒性に加え、極めて難分解性であることが、こ
れらの汚染が極めて深刻な環境問題とされる理由です。このような問題を解決するに
は、発生源からの排出を抑制するとともに、今までに排出されたダイオキシン類に加
え、将来も排出され続けるであろう相当量のダイオキシンを分解・無毒化することが
不可欠です。一般に、多くの微生物は有機物質を分解できますが、ダイオキシンのよ
うな塩素化芳香族誘導体は多くの微生物に抵抗性を示し、その生物分解は極めて困難
です。一方、キノコの仲間(木材腐朽菌)は、木材の主成分で、多くの微生物に抵抗
性を示すリグニンを容易に分解することが知られており、実際、木材腐朽菌の1種、
ファネロキエーテ・クリソスポリウム、がダイオキシンを分解することも分かってき
ました。ダイオキシン汚染土壌の浄化プラントにこの菌の利用が考えられますが、輸
入有害菌に指定されているため、国内の利用には難点があります。今回我々は、シイ
タケ、マイタケ、及エノキタケのような身近なキノコ(木材腐朽菌)でも、ダイオキ
シン分解能を有するものがあることを見い出し、その結果を日本薬学会第119年会
(3月30日:徳島)で発表しました。要旨は以下のとおり;

 10ミリリットルの培養液にこれらの菌とダイオキシンの1種(2,7-DCDD)0.5ミリ
グラムを入れ、2週間酸素100%下に置いたところ、ファネロキエーテ・クリソスポ
リウムとほぼ同様に、ダイオキシンの30〜40%が分解していることが認められた。
 身近なキノコの菌を使い、ダイオキシンで汚染された土壌を浄化する施設への応用
が期待されます。


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