埼玉県知事への公開質問状
このページでは、埼玉県知事へメールで質問したその内容と、
知事からのその質問に対する回答を掲載致します。
なお市長へ直接ご質問頂く場合はこちらへお願い致します。
直接ご質問頂いた場合は、出きればその内容と回答をこちらへお知らせ下さい。このページへ掲載致します。
7/25提出
土屋埼玉県知事様
今年の夏はどうなっているのでしょう。所沢市民の心を映しているかのように、晴れぬ日が続きます。
突然メール致します。私は所沢に住む主婦です。1年ほど前から所沢のダイオキシン汚染を非常に
心配しています。子どもにたっぷり母乳を与えて育てたことや、今その子どもが遊び盛りで毎日
土にまみれて遊んでいることはもちろん、二人目の子どもを流産したことでますます不安が募っています。
最近、所沢市の中新井というところに新しい焼却炉が完成し、今まさに焼却を始めんとしていると
いうことを聞きました。また、今すでにある産業廃棄物処理場の更新に当たって、焼却炉の
総取り替えが必要であるにも関わらず、県は「新設」として扱わず、「既設焼却炉の改修」と見なし、
そのため80ナノcの基準値のままこれから5年間焼却が続けられるという話も聞きました。
先日、所沢市に「ダイオキシン汚染から環境と健康を守る所沢市民会議」が知事へお願いした
「要望書」を見る機会があり、五月に出した要望はどれほどかなえられているのだろうと毎日
気にしているのですが、さっぱり見えません。市長と市民が県庁に「要望書」の提出にいったとき、
土屋知事は出ていらっしゃらなかったと聞きましたので、もしかして、ご覧になっていないのでは
ないかと心配です。また県の広報、ホームページといろいろ目を通してみるのですが、
ダイオキシンの「ダ」の字も見あたらず、ますます不安は募ります。(この点では所沢市はまだ
いい方で、内容はともあれ毎月何らかの報告を市民にしています。)かろうじて先日の朝日新聞に
「県警が野焼き撲滅キャンペーンを始める 」という記事がありましたので要望書5番の
「県と県警による監視体制を確立していただきたい。」という項目を受け入れて下さったのかと
思いました。ところが実際はこのキャンペーンは1月から始まっていて、8月にやっと県西部の
所沢周辺に「順番が回って来る」というものでした。
産業廃棄物処理場の近くに住む友人は、夜になるとベランダから異臭とともに煙が入ってきて
眠れないとか、せき込んで大変だと言います。友人一人の事ではありません。彼の団地、その周辺に
住む数千人の住民はどこにこの苦しみを訴えればよいのでしょう。
知事は「くぬぎ山」を見学された際に、「こりゃ大変だ。なんとかしなくっちゃ。」と
おっしゃられたと聞いてきます。それではいったいどうして下さっているのか私達の目に見える
ように伝えて頂けませんでしょうか。
前置きが長くなりましたが、要望書の各項目に関して現在どのように対策が進んでいるのか
お聞かせ頂きたく、メール致しました。
要望書の内容は、下記のようでした。それに対しての私の疑問も付け加えてあります。
1.産業廃棄物の流入規制を早期に実施していただきたい。
(産業廃棄物の流入が減るはずの所沢にこれ以上焼却炉が必要なのでしょうか。もしかして、
所沢に流入する廃棄物はこれからますます増えるのですか。)
2.県内のダイオキシン類排出量の削減目標値を設定していただきたい。
3.産業廃棄物処理施設の所沢周辺における立地規制を厳しく実施していただきたい。
(先に書きました県の対応の様子を見ますと、厳しくはなっていないということでしょうか。
これからどうしていくおつもりか、お聞かせ下さい)
4.環境保全のために3市一町行政境周辺の雑木林を率先購入し、公有化を図っていだきたい。
(「くぬぎ山」というところはそれはすばらしい雑木林だったそうです。無駄な公共施設を
建てるのを一つあきらめれば、できる事じゃないのかな。と思うのは甘いですか。)
5.県と県警とによる監視体制を確立していただきたい。
(順番待ちの状態なのですね。成果の程はどうか市民に知らせて下さい。)
6.関係政省令の前倒し適用や支援策等を検討していただきたい。
(国の規定に従うしかない。と言われそうですね。国へはどういう風に働きかけて
くださっていますか。)
7.平成九年度の所沢市のダイオキシン環境濃度の測定結果は、環境庁が示した大気環境指針値を
超えている地点もあるため、早急に広域的な対策を講じていただきたい。
(県の調査でも、小さな数字ではないようです。)
以上、お忙しいなか申し訳ありませんがお返事お待ちしております。もちろん私も自分たちの
生活から出るゴミはなるべく減らすよう、分別をするよう心がけております。
1998年7月25日
なお、私は所沢のダイオキシン問題に関してホームページを開いておりますので、
より多くの方たちに県の対策方針を知っていただきたく、お返事は当ホームページに掲載
させていただきます。 URL= http://www.dioxin.org
8/5回答受理
拝啓 時下ますます御清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、先般、私あてにお手紙をお寄せいただきありがとうございました。
内容につきましては、今後の県政運営の参考にさせていただき、
「豊かな彩の国づくり」に役立てて参りたいと存じます。
なお、今後とも「環境優先」「生活重視」の開かれた県民本意の県政に
心がけて参りますので、御意見等がございましたら御遠慮なくお寄せいただき、
よりよい県政推進のため、一層の御協力をお願い申しあげます。 敬具
埼玉県知事 土屋義彦
8/5に再度提出
土屋知事殿、
本日は私からのメールに対するご返事を頂きありがとうございます。しかしこの
ようなご返事は頂いてもあまり意味がありません。質問に対して全くご回答頂け
ていないからです。後ほどご回答を再度頂けるのか、あるいはこれで終わりなの
か、お手数ですが再度ご返事をお願い致します。
8/28に回答受理
拝啓 残暑の候、ますます御健勝のこととお喜び申し上げます。
この度は「知事への手紙」をお寄せいただきありがとうございました。
ダイオキシン問題の取りまとめにつきましては、ダイオキシン対策室で担当しており、知事より手紙を預かりましたのでお答えいたします。
本県では、ダイオキシン問題が、人の健康と生命に関わる重要な課題であり、現代に生きる私たち一人ひとりが真剣に取り組まなければ、将来に大きな禍根を残すことになりかねない問題であるという認識のもとに、知事自らが先頭に立って、現地視察はもとより総理大臣をはじめ関係大臣への要請活動を行うなど、この問題に対して積極的に取り組んできたところです。この結果、廃棄物処理法や大気汚染防止法の一部改正がされ、ダイオキシンの排出規制が行われることになったものと存じています。
平成10年度からは、ダイオキシン問題に適切に対応するため、ダイオキシン対策を進めている庁内関係部局・課所間の調整機能と県民の皆様方に対する総合窓口機能を担う専門担当組織として、ダイオキシン対策室を全国に先駆けて設置し、ダイオキシン汚染実態把握の推進、廃棄物の適正処理のための監視・指導の強化、廃棄物焼却施設改善への支援、県の率先実行、県民との連携の促進という5つの点から、ダイオキシン対策を総合的に推進しているところでございます。
このことは、「彩の国だより」4月号に掲載したところですが、このほか、9年度における各種ダイオキシン調査の結果について、同4月号、5月号、8月号に調査結果が分かりしだい掲載し、また、9月号にも掲載する予定です。このうち、9年度の一般環境中におけるダイオキシン実態調査の結果については、県のホームページ(http://www.pref.saitama.jp/)にも掲載しております。今後も、広報紙「彩の国だより」への掲載をはじめ、マスコミを通じての情報提供、学習会の開催など、情報提供や普及啓発活動に努めて参ります。
さて、去る5月に「ダイオキシン汚染から環境と健康を守る所沢市民会議」から知事あてに提出された要望書の各項目に関する対策の現状を説明します。
1 産業廃棄物の流入規制を早期に実施することにつきましては、現在、事前協議制などの導入に向けて、産業廃棄物の処理実態の調査を行っており、今後、この調査結果をもとに、実効性のある対策について検討を進めて参ります。
2 県内のダイオキシン類排出量の削減目標値を設定することにつきましては、一般廃棄物処理施設から排出されるダイオキシンについて、昨年度、県に設置した「ダイオキシン類削減対策検討委員会」が本年2月に県に報告した報告書で目標値を定めています。また、産業廃棄物処理施設から排出されるダイオキシンやそれ以外の発生源から排出されるダイオキシンについては、県では、平成9年度に全国に先駆けてダイオキシンの排出実態緊急調査に着手しましたが、まだ十分に実態が把握されていない状況ですので、引き続き実態の把握に努めて参ります。
3 産業廃棄物処理施設の所沢周辺における立地規制を厳しく実施することにつきましては、新規立地については、廃棄物処理法の許可要件の強化、県の指導指針による周辺同意の拡大により、厳しく審査することとなりました。また、既存の施設につきましては、法令基準に合致している場合には、直ちに産業廃棄物処理施設を移転させることは、資金手当、移転先における操業の保証など難しい問題がありますので、施設の改造時などの機会をとらえて、可能な限り工業系地域への誘導を図って参ります。
4 環境保全のために3市1町行政境周辺の雑木林を率先購入し、公有地化を図ることにつきましては、現在、県では、都市周辺に残る身近な緑を「ふるさと埼玉の緑を守る条例」に基づいて指定を行っており、相続などにより開発の危機にさらされた緑地を対象に、平成4年度から地元市町村と協働して「身近な緑公有地化事業」を実施しております。
また、昨年度から「三富地域」を対象に、地権者・市民・行政による新たな平地林の保全のあり方を検討しているところです。
5 県と県警とによる監視体制を確立することにつきましては、去る7月1日に、県・県警・関係19市町村で「西部地域生活環境対策推進本部」を設置し、8月から、「彩の国野焼き等防止クリーン作戦」としてダイオキシンの発生原因となる不適正な廃棄物処理に対する取締りの強化をしているところで、8月12日には、この作戦部隊の出陣式を県幹部、県警幹部、所沢市長をはじめ各市町村の担当者、各警察署の担当者が出席して所沢市で行いました。
6 関係政省令の前倒し適用や支援策等の検討につきましては、昨年の廃棄物処理法などの改正により、本年12月1日から既設の焼却炉に対するダイオキシンの排出規制が適用となりますので、県では、現在、この法基準の厳正な適用に向けて全力で作業を進めるとともに、平成14年に適用となる基準についても早急に達成するよう設置者を指導しているところです。また、「環境創造彩の国づくり助成事業」により、市町村の一般廃棄物処理施設改修に対する助成を行うほか、「彩の国環境創造資金貸付事業」により、産業廃棄物処理施設改修に対する融資を行っています。
7 平成9年度の所沢市のダイオキシン環境濃度の測定結果は、環境庁が示した大気環境指針値を超えている地点もあるため、早急に広域的な対策を講じることにつきましては、法律の規制を受ける焼却施設での法令基準の徹底を図るほか、法律の規制を受けない小型焼却炉について、昨年、「廃棄物焼却炉のばい煙排出抑制に関する指導指針」を策定し、一定規模以上の施設に対して県独自の規制を行っていますが、さらに、現在、「小型焼却炉等ダイオキシン対策検討会議」を設置して、規制の対象規模や規制の内容について見直しを行っています。また、ダイオキシンの発生量を削減するには、なによりもごみの発生量を減らすことが重要ですので、引き続きごみの減量化とリサイクルを促進して参ります。 敬具
平成10年8月27日
dioxin.org 様
埼玉県環境生活部ダイオキシン対策室長 柿沼雅史
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