排出業者の責任は?

 清掃事業所にごみの始末をお願いする私達は、いま自分たちが出すごみは減らそう・分別しようと心がけていますが(みんなも頑張ってる?)、では産業廃棄物処理場に中間処理(焼却)を委託している廃棄物の排出企業は何を考えているのでしょう。

 「中新井の環境を考える会」が97年7月から8月にかけて行った排出企業に対するアンケートの結果が『リサイクル文化』57号(生態系との融合をめざすオピニオン誌・リサイクル文化社)に掲載されています。


「中新井の環境を考える会」が排出業者に対して行ったアンケートは次のようです。
調査対象:建設企業52社(大手ゼネコン・住宅企業・地元建設企業)、所沢周辺に工場をおく製造企業72社(資本金一億以上)
アンケート回収率:49社・39.5%
質問内容: 1 産業廃棄物は移出量と種類の概要
       2 東地域中間処理施設への委託の有無
       3 委託先処理業者がダイオキシン対策を採っているかの確認状況・施設不備の場合の対策
       4 今後のダイオキシン対策方針

著者は、調査結果をみて
 
「アンケートの結果、やはり排出企業の廃棄物処理に対する意識の低さが感じられた。処理方法もすべて業者任せというのが実態のように思われる回答も多かった。さらに、運搬業者しか把握していない、といった回答もみられ、中間処理施設を自社で選定していないと思われる企業もあった。今後の方針においても排出企業としての自覚が足りないのでは、ダイオキシン汚染の恐ろしさを理解していないのではないのか、と思われる回答が多々あったのは残念だった。
 排出業者が処理業者の処理をきちんとチェックするようになれば、処理業者側も変わってくるはずだ。きちんとした適正処理をしなくては取引先がいなくなってしまうとなれば、当然、適正処理に努めるようになるだろう。ところが、現状では排出業者はコスト面でのチェックを優先させ、業者処理の実態チェックを行うところがほとんどないため、コストを抑える処理方法(極端なものは不法投棄、野焼き)を取る業者が後を絶たない。また、運搬業者や解体業者に中間処理施設選定までもまかせてしまうことにより、それらの業者がコスト減を目的として悪質な処理業者に処理を委託するという場合もある。
 これらの現状の改善のためには排出事業者の廃棄物処理に対する責任についての意識の改革が必要なのではないか。ダイオキシン問題の解決には排出企業の姿勢が大きく関わっていると言える。また、自覚を促すだけではどうしても限界があるため、法において排出責任を明確にすることが必要だ。
 最近、私は埼玉県へ中間処理業者の処理実績報告書の情報公開請求を行ったが、県は排出企業名および焼却灰委託先は明らかに出来ないと回答した。問題となっている業者へ委託する排出企業名さえ明らかにされない状況では企業の社会的責任を問うことすらできない。排出業者責任の明確かを求めていくよう、行政も姿勢の転換が必要だ。」

と、書いています。誠実にアンケートを回答してきた企業でさえこうなのですから、回答のなかった企業は推して知るべしでしょう。

 中新井に住む知人が、夜煙くてたまらないと訴えていました。調べてみると、彼の住居近くには産廃処理場はありません。解体業者がパワーショベルで、廃材を山のように積み上げて火をつけているのだそうです。こういった野焼きが横行する背景には、排出業者の無責任さと、排出業者の責任を追及するすべがないという現状があるようです
 また、情報公開で得た資料の中では、排出業者の記載は黒く塗りつぶされていたということです。プライバシーの問題だということですが、県は誰のプライバシーを守りたいのでしょう。守ってあげることで何か得をするのでしょうか