4.赤ちゃんの死ぬ原因とは?
咋年7−8月に、所沢周辺の各市町が大気中のダイオキシン濃度測定を実施しました。その測定結果を図10に示します。環境庁が設定した大気環境濃度の目標値である、1立方メートル当たり年平均0.8ピコcをかなりの地点で上回っていることがわかります。
これらの値と、ほぼ同時期に摂南大学で実施した松葉針葉のダイオキシン測定値は良い対応を示すため、各市町が測定したデータは、その絶対値はともかくとして、ダイオキシンによる大気の汚染状況を良く反映していると考えられます。
次にこの結果をもとに、各市町の大気中の平均ダイオキシン濃度を求めます(図11)。この各市町毎の大気中ダイオキシン濃度の平均値と、その自治体における89−94年の新生児死亡率の関係を図12に示します。この図から、各市町のダイオキシン濃度と死亡率が驚くほどきれいな一直線上に乗っており、両者には極めて密接な関係があろことが分かります。早期新生児(出生後1週間未満)死亡率と乳児死亡率についても、ほぼ同様の結果が得られています(図12)。以上のことは、大気中のダイオキシンが各死亡率に大きな影響を与えている可能性を示します。
冒頭で述べたように、従来は焼却施設周辺で死亡率が高いことまでしか分かりませんでした。ダイオキシンとの関係は推定の域を出なかったのです。しかし今回の結果は、ダイオキシン犯人説を裏付ける有力なデータと言えます。
一刻も早く焼却炉を止め、大気中濃度を下げる必要があります。取りあえずは環境庁の目標値0.8ピコc以下になるまで、焼却量の一律削減規制を行い、焼却炉の新設はおろか更新も認めるべきではないでしょう。
ここでもう一度、図10をながめて下さい。安松小学校の測定値は、2.5ビコcと極めて高い値を示しています。大気濃度が高ければ、土壌汚染も進行しているとみなければなりません。毎日まいにち、子ども達は高濃度のダイオキシンに被爆し、環境ホルモンが蓄積しているのです。子ども達はそのことを知らされてもいません。逃げることもできません。
これから10年後、生殖毒性や環境ホルモンの影響がどのような形で表れるか?その時の彼らの叫びを、今の大人達はどのように受け止めるのでしょう?
子ども達をモルモットにしている大人達の経済優先主義とは、まさに犯罪行為であり、世代間暴力そのものではないでしょうか。
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